2021/03/20

川崎就学裁判 1審判決に関するCPちゃん意見

 

横浜地方裁判所が出した判決は、障害者権利条約からすると次の2点において受け入れがたい。

1)障害者への侮辱

 1審判決では、「原告Aは、一般的な発話による意思表示に困難を抱えており、その理解力・表現力・表出力は、平仮名・数字等を的確に理解し、これを表現・表出し得る程度に至っているものとは認め難い」とした。これは能力主義の発想で、健常者至上主義が露骨に現れている。意思表示が困難な場合、普通学級でいてはならないだろうか。学校は、コミュニケーションを伸ばして子どもが成長する場所であり,はじめはみんなコミュニケーションに困難性がある。そもそも「困難」は、コミュニケーションの受け手、つまり和希くんと十分に関わっていない健常者が困難という意味だろう。人間である以上、意思は誰でも持っており、それを表現しようとする。受け取れないのは、表現方法に受け手が気づかないだけである。表現方法と外界との溝を埋めるのが、普通学級での合理的配慮と自立活動だ。

 この判決は差別的だ。

2)和希くんの合理的配慮と教育的ニーズに関する検討の欠落

 1審判決は、和希くんがどうしたら普通学級で学習できるか、どんなことが普通学級で出来ないかという検討が一切無かった。司法は教育の専門ではない。しかし事件が教育に関するものである以上、教育の具体的検討が不可欠である。極めて血が通っていない判決だ。

Japanese court ignore CRPD

 

Kazuki Kouzuka, eight years old boy who has severe physical and respiratory disable, and his parents have file lawsuit against Kawasaki city and Kanagawa Prefecture school district("District")for his appropriate placement on an elementary school. They assert in court that the District's placement is illegal. They requested repeatedly that he wants to enroll in a regular class, but District denies their request. The Yokohama court on March 18th found that District's measures are lawful and reject the plaintiff's assertion.
The decision didn't refer to CRPD at all. It didn't carefully review the agreement process of placement which became clear in the interrogation of a witness.
The big question is why it happens in signatory State of CRPD. The plaintiff lodged an appeal.
The court found as follows.
(a)Notification of enrollment, which District must send to the parents until the end of January, had a delay because of the agreement process. It cannot say illegal
(b) "Inclusive Education" includes special school
(c)His or her opinion and parent's opinions are just one fact for decision on placement. The law says "listen to opinion including expert's"
(d)District didn't listen to doctor and kindergarten teacher' opinions. But it doesn't influence the decision and reasonable accommodation because there is no misunderstanding of his medical situation
(e)Although Kawasaki city has run Sport Project for Medical Care, Kazuki couldn't be eligible for this project. It is not a lack of reasonable accommodation because of no precedent
(f)District's decision is lawful, its placement match educational needs, so it can not say lack validity.

権利条約を完全に無視した司法判断

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 就学先を特別支援学校に指定したのは違法だとして神奈川県および川崎市を訴えた裁判。横浜地方裁判所は3月18日、原告の訴えを退けた。
 判決要旨を読むと、障害者権利条約について触れられておらず、どうすれば和希君の教育がインクルーシブ教育(非障害者とともにいながら最大限その子の可能性を伸ばす教育)になるのかの検討が全くなされていない。証人尋問で述べられていた合意形成の過程も、検討されなかった。
 日本は、権利条約を批准した国にもかかわらず、それを完全に無視した判決が出た。今後の各自治体の就学相談に影響しかねない。原告は控訴した。
裁判所は特別支援学校への措置は次の理由で適法だったとした。
① 就学通知が法令と異なり3月下旬に遅延したのは、原告と合理形成をした結果であり、問題はない。
② インクルーシブ教育は特別支援学校の排除していない。
③ 本人・保護者の意向は、就学先決定の判断材料の一つ。専門家の意見聴取も求めている。
④ 主治医の診断書の提出や幼稚園に対する聴取を待たずに就学先しているが、 障害の状態に誤りが無いため,判断過程の瑕疵、合理的配慮を欠くものでない。
⑤ 川崎市が原告を医療的ケア支援業の対象としなかったのは、人工呼吸器の子どもを小学校に受け入れた例が無い等の市の裁量であり、合理的配慮を欠くもので無い
⑥ 市教委の就学先指定は、学校教育法施行令第5条に満たすもの。原告の教育的ニーズに合致し、社会通念に照らし,著しく妥当性を欠くものとは言えず、承認した県教委の判断にも不合理な点はない

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「合理的配慮を誤認した判決」

 

7月12日(日)、川崎就学訴訟の報告集会が行われた。原告の主張を棄却して特別支援学校適とした不当判決から4ヶ月。
 現在、和希君は東京・A区に引っ越し普通学校に通っている。週4回、体調に合わせながら時間を区切って登校しているという。母親は「引っ越して学校に通えるようになり、声をいっぱい出すようになった」と和希君の様子を述べた。)
この裁判を担当する原告団の大谷弁護士は、「本人・保護者の意向を排した判決であり、合理的配慮を明らかに誤認したものだった」とした。判決では、教育的ニーズは客観的でなければならず、専門家の意見を聴くことになっていると述べている。しかし「和希君のコミュニケーションについて客観的に調べていない」とした。
 参加者からは「北海道では今年、特別支援学校から普通学校へ転校できた人がいる。なぜ川崎市はダメなのか」といった意見が出た。
 原告は控訴している。

Teacher discriminate student

日本語へ

Japan ratified CRPD. But unfortunately, the discrimination case of people with disabilities happened at school by the teacher.

In this June, an elementary school teacher, work at Okinawa prefecture, said to a boisterous student “Please raise your hands if you are nosey or annoy” at the class with special class’s students. And she added to the student who did not rise hands “You should go to a special class too” and grabbed the student’s wrist. The teacher has explained to the investigation conducted by the school board “That was part of teaching, no malicious”.

 

 She may constantly have an awareness that special class children are annoying. Discrimination is never ended, as long as the segregated education is continuing.

             

 教員が差別を再生産

 English version

 障害者権利条約に批准した日本で、教員による障害者差別が起きてしまった。
 今年6月、小学校の教員が、交流及び共同学習の授業で、子どもが騒いだ際、「うるさいと思う人、邪魔だと思う人は手を挙げてください」と発言していた。そして、手を挙げなかった普通学級の子どもに「あなたも支援学級に行きなさい」とも発言し、手首をつかむなどしていた。教育委員会の聞き取りに対して教員は「指導の一環で、悪意を持ってやったわけではない」と説明している。
 この教員は日頃から、特別支援学級にいる子どもは邪魔者であるという意識を持っているのではないか。分離教育が受け継がれていくと、分離される者に対する差別心がこびりついてしまう。
(CPちゃん)

元記事
支援学級の子「邪魔だと思う人は手を挙げて」 教員が不適切発言 ショックで休む児童も
2020/09/09 11:08