就学先を特別支援学校に指定したのは違法だとして神奈川県および川崎市を訴えた裁判。横浜地方裁判所は3月18日、原告の訴えを退けた。
判決要旨を読むと、障害者権利条約について触れられておらず、どうすれば和希君の教育がインクルーシブ教育(非障害者とともにいながら最大限その子の可能性を伸ばす教育)になるのかの検討が全くなされていない。証人尋問で述べられていた合意形成の過程も、検討されなかった。
日本は、権利条約を批准した国にもかかわらず、それを完全に無視した判決が出た。今後の各自治体の就学相談に影響しかねない。原告は控訴した。
裁判所は特別支援学校への措置は次の理由で適法だったとした。
① 就学通知が法令と異なり3月下旬に遅延したのは、原告と合理形成をした結果であり、問題はない。
② インクルーシブ教育は特別支援学校の排除していない。
③ 本人・保護者の意向は、就学先決定の判断材料の一つ。専門家の意見聴取も求めている。
④ 主治医の診断書の提出や幼稚園に対する聴取を待たずに就学先しているが、 障害の状態に誤りが無いため,判断過程の瑕疵、合理的配慮を欠くものでない。
⑤ 川崎市が原告を医療的ケア支援業の対象としなかったのは、人工呼吸器の子どもを小学校に受け入れた例が無い等の市の裁量であり、合理的配慮を欠くもので無い
⑥ 市教委の就学先指定は、学校教育法施行令第5条に満たすもの。原告の教育的ニーズに合致し、社会通念に照らし,著しく妥当性を欠くものとは言えず、承認した県教委の判断にも不合理な点はない
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