2021年11月27日土曜日

国連、障害者の脱施設化ガイドライン概略版を公表

  「私たちは強力な武器を得た」。私はこれを読んで、こう思った。

 202111月、国連の障害者権利委員会から「自立した生活と地域で暮らすこと:障害者の脱施設化ガイドライン(緊急時を含む)」の概略版が出された。概略版であるため、今後加筆・修正されるだろう。しかし公表は、ガイドラインがこのような内容で書かれることを世界に示すものと言って良い。概略版は、私たちが長年訴えてきた脱施設化を、どのような状況においても“緊急時においてさえも”進める方策を示してくれるものである。 

 地域生活を進めていく立場から、注目点を書いてみる(正確な日本語訳は、DPI日本会議の浜島訳を参照してください) 。

●入所施設とは

 概略版では、入所施設を「障害者が生活様式を決められず、自主的に自分の日常生活をコントロールできないところ」としている(セクションーAⅡ)。そして、それは大きさや提供されるサービスの種類に関係ないと明言してる。つまり、リハビリ施設、グループホーム、保護施設、介護施設などに加え、地域生活をしてても上記の状態になればそれは施設と解される

 また概略版では、運営も公立や民間、慈悲団体、宗教団体問わないとしている。日本では現在、地域移行の有効な施策としてとしてグループホームが推奨されているが、概略版では次のように述べられている。

 「障害者の日常の流れや選択を第3者が永続的に管理するものである、大施設からグループホームへの移行は脱施設化とはみなさない」(AⅡ6d

●施設化の原因

 概略版では「入所施設は、障害者の保護や障害者の“解決策”でも適切な支援・サービスの形でもない」と言い切っている(A―Ⅲ2

 施設化の原因として、地域サービスや子どもの代替的養護(親が養育不能にな場合の支援)の不足も挙げ、条約の締約国は「根底にあり根元にある原因を取り除き対応しなければならない」とする。また入所施設を推奨する文化、その文化を醸成してしまう偏見やステレオタイプを無くするよう求めている。(A―Ⅳ1

●脱施設化を進めていくためには

脱施設化プロセスは、全ての障害者が対象であり、本人の意思決定は保障されなければならないとする(セクションBーⅠ.1)。

脱施設化のためには、次のような点を行うことが重要だとする。

·        投資先の変更

全ての障害者にとって利用可能で適切な地域一般サービスを保障すること。グループホーム等ではなく一般住宅施策に投資(BーⅡ10.110.3)。

·        インクルーシブ教育

地域のインクルーシブも質の高い教育も脱施設化にとって重要な要素。具体的には、「特殊教育を質の高いインクルーシブ教育に変換し、特殊教育・特殊学校・寄宿舎学校・その他の分離教育を廃止するのを加速する」こと(同10.4)。

·        脱施設化のための政策

包括的な戦略と行動、合理的な工程、ベンチマーク、人的・技術的・財源的な資源を明記した、よく練られた構造的な脱施設化プロセスを求めている。戦略や行動計画では以下のことを言及するべきであるきとする(B―Ⅲ12)。

o   障害者の自律、思い、嗜好、真の選択の完全なる尊重を保障

o   個別化された支援を保障

o   入所施設から地域で自立した生活に移る期間の支援を保障

o   脱施設プロセスは優先され迅速に行うこと

o   持続可能な資源分配(入所施設から地域生活の支援など)

o   適切な統治(担当機関の設立や、省庁間の連携、障害当事者の参画、政策作成中の施設関係者の排除、中央と地方の間の一貫性のある脱施設化の実施)

  この概略版では、そのほかにも重要な指摘が詰まっている。202112月にガイドライン草案が出される予定である。ガイドラインが障害者運動の北斗七星になるか、注意深く見ていこう。

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